「いさぶろう・しんぺい」の旅
「令和2年7月豪雨」により長期運休中です。車両自体は門司港〜博多間の臨時特急に使われているようです。
「いさぶろう」「しんぺい」とは、肥薩線の人吉〜吉松間を走る観光列車です。この列車が走る人吉〜吉松間は、2か所のスイッチバックにループ線、日本一の車窓と言われる景色もあり、鉄道の旅を満喫できる区間です。
「日本一の車窓」とは、かつて国鉄が選定したという「日本三大車窓」のことで、このうちの1つを「いさぶろう」「しんぺい」から眺めることができます。
「いさぶろう・しんぺい」について
特に利用の少ない人吉〜吉松間の利用者アップのため運転されている観光列車です。運転自体はワンマン運転(3両以上で運転される時は車掌が乗務)ですが、女性の客室乗務員が乗務し、沿線の案内や車内改札を行います。
途中駅で数分の停車時間があり、駅施設などを見学できたり、車窓の素晴らしいところで停車し、客室乗務員の案内があります。
ここに説明が表示されます。
*の付いた画像は2015年4月に、△は2016年4月に、@は2019年3月に撮影しました。
「いさぶろう・しんぺい」の編成と座席配置
車内の座席の番号は上のようになります。日本一の車窓は、進行方向左側(いさぶろう・人吉→吉松の場合。以下同じ)ですので、奇数番号の座席から直接眺めることができます。全体的にみても、左側の方が景色はいいと思います。
最大で3両編成(1〜3号車)で運転されます。SL人吉が運転される日に3両で運転されるようです。通常は2両での運転です。
座席はほとんどが指定席(座席番号のある席はすべて指定席です。)で、申し訳程度に自由席(2号車に7席、3号車に6席)があるだけですので、乗車前に指定席券、特急券(特急区間にまたがる場合)をお求めになることをおすすめします。
指定席を持たずに乗り、自由席もすべて埋まっている場合は、3号車の展望スペースなどに1人分の座席(ベンチタイプ・合計6席ある)がありますが、個人的にはおすすめしません。また、1号車の吉松寄りにも、ベンチタイプの座席があり、自由席なので空いてれば座っても構いません。
※ 十分に調査しましたが、間違っていたらごめんなさい。
「いさぶろう・しんぺい」の運転時刻
「いさぶろう1号」「しんぺい4号」は熊本発着となり、熊本〜人吉間は特急となります。(下表の赤字部分) 停車駅は新八代、八代、坂本、一勝地、渡です。「やませみかわせみ」は仕方ないにしても、当列車まで特急化するのは疑問です。まさに「ぼったくり特急」だと思います。特急区間と普通列車区間を続けて乗車する場合は、乗車券と「特急部分の指定券(特急券)」で利用できるようです。
途中駅の上段は着時刻、下段は発時刻です。大畑、矢岳、真幸駅停車中に車外に出られる方は、発車に遅れないようにしましょう。
熊本(発) | 人吉 | 大畑 | 矢岳 | 真幸 | 吉松(着) | |
---|---|---|---|---|---|---|
いさぶろう1号 | 8:31 | 10:04 10:09 |
10:24 10:30 |
10:54 11:01 |
11:15 11:21 |
11:30 |
いさぶろう3号 | - | 13:14 | 13:30 13:35 |
13:59 14:05 |
14:18 14:24 |
14:33 |
吉松(発) | 真幸 | 矢岳 | 大畑 | 人吉 | 熊本(着) | |
---|---|---|---|---|---|---|
しんぺい2号 | 11:41 | 11:54 12:00 |
12:19 12:26 |
12:41 12:46 |
12:58 | - |
しんぺい4号 | 15:15 | 15:28 15:34 |
15:53 16:01 |
16:16 16:22 |
16:34 16:43 |
18:18 |
「いさぶろう・しんぺい」の旅(人吉〜吉松)
人吉→大畑(おこば)
人吉を発車した列車は、しばらく「くまがわ鉄道」と併走します。そして、くまがわ鉄道の最初の駅が見えたあたりで、大きく右にカーブし、球磨川を渡り、八代からの車窓の友に別れを告げます。
その後、左側に高速道路が近づき、しばらく併走しますが、やがて森の中に入り、水無第一、水無第二、立石第一、立石第二、そして横平トンネルを抜け、最初のスイッチバック駅である大畑駅に到着です。なお、列車からは見えませんが、横平トンネルの上には、これから通るループ線が走っています。
大畑駅の駅舎を出ると、舗装された道が左右に延びるだけで、民家はありません。土讃線の坪尻駅をほうふつとさせます。
大畑→矢岳(やたけ)〜スイッチバックとループ線
さて、大畑駅を逆方向に出発です。スイッチバックを登るべく、右側の線に移ります。ちなみに、左側は今来た人吉からの線です。しばらく行くと、再び止まり、逆方向に進み出すと、ここからはループを登ります。やがて、テープの案内があり、駅でもないのに列車は停止します。ここが大畑ループの頂上で、ループを1周したことになるのです。
ループが終わると、さらに山を登ります。その途中、大野第一〜第四トンネルを抜け、矢岳駅に到着です。矢岳駅は、かつては行き違い設備があったようですが、現在はなくなっています。駅前にはSL資料館があり、停車時間の間に客室乗務員の案内で見学することもできます。
もともとはもう1台あったそうですが、もう1台は現在「SL人吉」として肥薩線・川線区間で活躍中です。
矢岳駅に戻り、駅舎から眺めると集落が見えます。ここに住む方々が、この区間の貴重なお客様です。
矢岳→真幸(まさき)〜日本一の車窓をどうぞ
矢岳を出ると、まもなく矢岳第一トンネルに入ります。(トンネルの前で一時停止し、案内があります。)このトンネルは肥薩線でいちばん長いトンネルで、このトンネルの完成で青森〜鹿児島が1本のレールで結ばれました。このトンネルの人吉側入口には、工事の最高責任者・逓信大臣 山縣伊三郎(やまがたいさぶろう)の「天険若夷」、吉松側には鉄道院総裁 後藤新平(ごとうしんぺい)の「引重致遠」という石碑が掲げてあります。これらは、「いさぶろう」「しんぺい」の愛称の由来ともなっています。(下のいい加減な画像で説明。)
天険若夷(てんけんじゃくい):厳しい地形が平地のようになった。 引重致遠(いんじゅうちえん):重いものを遠くに運べるようになった。 これらの言葉は、難所を克服し鉄道を建設した喜びを表しています。
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トンネルを抜けると、左側に雄大な景色が広がります。この地点の車窓は、「日本一の車窓」(厳密には「日本3大車窓」の一つ)といわれ、列車はしばらくの間停車し、客室乗務員の案内があります。
天気のいい日には、右の方の山がくぼんだあたりに桜島が見えます。下画像には、桜島がうっすらと写っています。
「日本一の車窓」を過ぎると、どんどん山を下っていきます。矢岳第二、第三など5つのトンネルを超えると、左側に真幸駅のホームが見えますが、ここを通りすぎて列車は止まります。ここもスイッチバック駅です。
そして逆方向に動き出したかと思うと、吉松からの線が現れ、ようやく真幸駅に到着です。真幸駅は肥薩線の中で、唯一宮崎県にあります。この駅も、色々楽しめる駅です。
ここに説明が表示されます。
真幸→吉松(よしまつ)
真幸を出ると、「山神第二トンネル」の手前で停車し(停車しないこともあり)、昭和20年にあった大事故についての案内があります。終戦直後、復員兵を乗せて満員状態の列車がトンネルに入ったのですが、先頭の機関車が坂を登れずに立ち往生しました。一部の乗客が車外に逃げ出したところへ機関車がバックを始め、逃げた人を次々に轢いて行ったというのです。トンネルの入口付近には、この事件の慰霊碑が立っています。
ここに説明が表示されます。
ここを通るとラストスパートです。左から都城からの吉都線が近づき、終点の吉松駅に到着します。「いさぶろう」は折り返し「しんぺい」となって人吉を目指します。
吉松駅は、今では1〜2両の列車が発着するローカル線の駅ですが、かつては鹿児島本線(現在の肥薩線)と日豊本線(同じく吉都線)が合流する駅として賑わっていました。2本の島式ホームと長いホームが当時を物語っています。
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人吉駅、吉松駅の駅弁
人吉駅、吉松駅では駅弁が売られています。お昼時に運転される列車もありますので、弁当を持って乗ってみてはいかがでしょう?
人吉駅には鮎すし以外に「栗めし」というのもあります。
ご利用について
当列車は「列車に乗ることそのもの」を楽しむ列車です。本ページで述べているスイッチバックやループ線を期待しないのであれば、利用しない方が賢明です。博多や熊本と鹿児島を移動したい方は、九州新幹線をご利用ください。人吉と鹿児島を移動する場合も、新八代に出て新幹線に乗った方が所要時間は早いはずです。
中国人・韓国人はご遠慮ください。ベビーカーを持ち込む人を見かけますが、ベビーカーに乗せるような子供が乗る列車ではありません。
Chinese and Korean, please don't board Isaburo and Shinpei train.