青春18きっぷと大阪からの普通列車の旅〜Local Train Trip.
Local Train Trip.(トップ・上画像をクリック) > 青春18きっぷで訪ねたい・体験したい(鉄道編) > スイッチバックにループ線

スイッチバックにループ線

山がちな地形の日本に線路を敷くには、必然的に急勾配を克服することが必要でした。

30パーミルの勾配

その知恵の中に「スイッチバック」や「ループ線」というものがあります。

現在は車両の性能が良くなり、また建設技術も進歩したので、このような設備は必要がなくなり、姿を消しつつあります。が一方で、短い距離で(直線距離では)高度を稼ぐことができるので、そのような設備のある場所周辺は高所から眼下を見下ろすことができ、日本3大車窓に数えられたり、それらを体験するための列車が運転されている所もあります。

以下では図を用いて説明していますが、基本的にAがスタート地点で、B・C・Dに向かって進むものとお考え下さい。

 MENU

スイッチバック
 勾配上に設けたもの
 登坂と関係しない駅
 途中駅で進行方向が変わる列車
ループ線
その他、勾配を克服する方法

スイッチバック

列車の進行方向を変えながら高度を上げていきます。

かつての蒸気機関車は、平らな所でないと発進ができませんでした。そのため、平らな所で発進し少し坂を上り、平らな所で停止し向きを変え、反対方向に発進、さらに少し坂を登って停止し向きを変える、ということを繰り返して勾配を上っていました。JRに存在するのは3段(2度向きを変えるもの)が多いです。

下にスイッチバックのいちばん単純な線形(配線)を示します。


スイッチバックの線形

BとCで向きを変えます。BとCの部分は平坦になっています。AとDとの高低差は、少なくとも直接線路でつないでも上れない勾配になります。

実際は、駅に停車せずに通れるように渡り線があったり、列車の行き違いができるよう駅の部分は複線になっていたりと、複雑な配線になっていることが多いです。

スイッチバックを通る

実際の例として

姨捨駅(篠ノ井線)…「青春18きっぷの旅(長野エリア)」に姨捨駅からの眺めの画像あり。姨捨駅を通る「リゾートビューふるさと」号には、停車時間中に姨捨駅で景色を眺めることができます。
出雲坂根駅(木次線)…「木次線奥出雲おろち号とスイッチバック」に構内の画像あり。
立野駅(豊肥本線)
大畑駅・真幸駅(肥薩線)…「いさぶろう・しんぺいの旅」に構内の画像あり。
など。

 勾配上に駅(又は信号場)を設けた場合


スイッチバックの線形

こちらもB、Cの部分は平坦になっています。通過列車はAからDに進みますが、用のある列車はA→B→C→Dの順に進み、BとCの部分で方向が変わります。信号場での例が多いですが、合理化や運転本数の減少により廃止になったり使用していないところが多いです。


左が駅、右が本線

実際の例(現在も稼動)として

坪尻駅(土讃線)…「坪尻駅」に駅周辺の様子の画像あり。配線図もあり。
新改駅(土讃線)

 登坂と関係しないスイッチバック駅

町の中心に乗り入れるために逆方向から接続した駅や、路線名称変更によって逆方向から接続することになった駅があります。そのような駅に停車する列車は、その駅で向きが変わります。

実際の例として

路線の途中駅で進行方向が変わる場合を載せています。進行方向を変えて他路線に乗り入れる場合は次項を参照。

遠軽駅(石北本線)、十和田南駅(花輪線)、会津若松駅(磐越西線)、早岐駅(佐世保線)など


会津若松駅の分岐部分。左が新津方面、右が郡山方面
ここに説明が表示されます。

 途中駅で進行方向が変わる列車

列車によっては、上記の要因によらずに途中駅で進行方向が変わることがあります。この場合もスイッチバックと呼べるかは疑問ですが、青春18きっぷで乗れる列車には少ないです。定期列車では、奈良〜高田〜和歌山と運転する普通列車が該当し、高田駅で進行方向が変わりますが、こんな列車に乗りたい人はいないと思います。 それ以外でいえば、「リゾートしらかみ」号が該当します。


奈良駅に停車中の高田経由和歌山行き他

進行方向が変わる駅では、座席の向きを変える人が多いので、座席の向きの変え方に関する車内放送があります。「リゾートしらかみ」の秋田発青森行きの場合、東能代駅、川部駅、弘前駅と3回進行方向が変わります。東能代到着時の案内放送では、座席の向きを変える案内がありますが、川部駅到着時には「川部から弘前まで、7分程度逆方向に進みます」という内容になります。

余談ですが、「リゾートしらかみ」の車両検査時に運転されていた全車自由席の「五能線海彦山彦号」(秋田〜青森間運転・ボックスタイプの座席なので座席の向きは変えられない)は、海を見たいのであれば秋田駅発車時点で進行方向右側に座らなければなりません。当方が乗った時は、そのことを知る人は全て進行方向右側に座っていましたが、発車直前に大学生の集団が乗って来て、引率役が「左左」(「左側に海が見える」と言いたかったようです)と大声で言って、全員が左側の座席に座りました。東能代で進行方向が変わり、海沿いを走るようになると喧嘩になっていました。

 

ループ線

進行方向を変えずに距離を稼いで勾配を緩やかにする方法です。下図を見ればわかるように、自分の線自身を乗り越える地点があります。(下画像のB地点)


ループ線

時刻表に載せられている索引地図には、親切にもループ線の部分には、ループのように書かれていますので、見つけることは簡単です。が、一方、あるいは両方がトンネルの中だったりして、他方の線が見えないことの方が多いです。

実際の例として

上越線の土合〜湯檜曽間…「土合駅と湯檜曽駅とループ線」を参照。
肥薩線の大畑〜矢岳間…「いさぶろう・しんぺいの旅」で。スイッチバックとループ線を組み合わせた珍しい構造です。
などなど。

 

その他、勾配を克服する方法

大きく迂回して距離を稼ぐ方法で勾配を緩くしています。こちらも眼下に下界を眺めることになり、車窓が素晴らしいことで有名な地点がいくつもあります。

土讃線の箸蔵〜佃間(「青春18きっぷの旅(四国東部)」も参照)では、大きく迂回して佃駅に達しますが、その間は池田の町や吉野川を見下ろすことになります。(下画像)

箸蔵〜佃間の車窓

根室本線の新得〜落合間は、S字の形に坂を登っていきます。(「旭川・富良野付近のJR線の旅」を参照)新得の町を遠くに眺められる(下画像)他、線路沿いのスキー場や牧草地帯を眺めることができます。なお、車窓を楽しむには、特急よりも速度の遅い普通列車をおすすめします。

根室本線・新得〜落合間の車窓

などなど。

サイトマップ

2017/10/17 更新